2008年03月23日 (日) | 編集 |
石川梨華 亀井絵里 加護亜依
- 3月16日 ( 火 ) -
石川N< 映画監督の勉強で渡米して、三年ぶりに帰国した私を待っていたはずの
私の、映画への愛は行き場を失い、あの日、確かに思い描いていたはずの夢は、
やはりただの夢だったのだと、私は思い知りました。
光を通して初めてスクリーンに映し出される映画のフィルムと同じように、
私も、夢という光なしではただの動かない絵のひとかけらに過ぎないのです。
- 深夜の渋谷駅前 -
石川N> その晩遅く、私は再び、パンテオンの跡地に足を運びました。
映画の思い出が眠っている墓場のようにひっそりと、
渋谷の片隅の遺跡になっていたのです。
塀を乗り越えて、こっそりと工事現場に忍び込んだ私は、
ただあてどもなく、そこを歩いていました。
自分の足の下に転がる無数の破片は、
それは全て、パンテオンの床のかけらであり、
壁のかけらであり、そして何より、
私の夢のかけらでした。
私は、立ち止まると、足元の一つのかけらに目がとまりました。
夢のかけらをいとおしむかのように、私は、それに手を伸ばすと・・・
( ^▽^)< これ・・・床だ・・・
石川N< そう、そのベタついた感触は、間違いなく、あの、ジュースをこぼした床でした。
その床のかけらをただ手に取ってみたくて、私は、拾い上げました。
( ^▽^)< ・・・ん・・・? なんだ、これ・・・
石川N< その、パンテオンの床のかけらの下にあったのは、
( ^▽^)< ・・・ フィルム だ・・・
石川N< それは、映画のフィルムのひとかけらでした。
( ^▽^)< あ・・・これ、女の子・・・?
石川N< そのフィルムの一コマに映し出されていたのは、
つぶらな瞳、印象的な八重歯、そして何より、フィルムに焼き付けられた、
そう、それは空気としか言い様のない少女の幸福感に、私は惹かれました。
それは、今の私が一番必要としていたものだったのです。
- 帰宅 -
( ^▽^)< ただいま
ノノ*^ー^)< ああ、やっと帰ってきた
( ^▽^)< やっとって何よ
ノノ;^ー^)< ずっとお母さん待ってたんだよ、
( ^▽^)< そうなんだ
ノノ;^ー^)< そうなんだ・・・って、それだけ?
( ^▽^)< それだけだよ
ノノ;^ー^)< なにそれ
( ^▽^)< ああ、もう疲れたから今夜は寝るわ
ノノ;^ー^)< どこで
( ^▽^)< いや、あたしの部屋で
ノノ;^ー^)< お姉ちゃんの部屋なんかもうないよ。私の部屋になってる
( ^▽^)< いいじゃん、布団敷くスペースぐらいあるでしょ
ノノ;^ー^)< やだよ、私の部屋だもん
(;^▽^)< あのさあ・・・
ノノ;^ー^)< ( 遮って ) ていうか、お姉ちゃん、いつまでこの家にいるつもり?
(;^▽^)< いつまで・・・って、なんか居ちゃいけないみたいな言い方しないでよ
ノノ;^ー^)< 居ちゃいけないから言ってるの!
(;^▽^)< はぁ?
ノノ;^ー^)< お姉ちゃんは、夢を追いかけて家を出て行ったんでしょ?
(;^▽^)< あんたにはわかんないよ
ノノ;^ー^)< わかってないのはお姉ちゃんだよ!
でも、お姉ちゃんが自分の夢を追いかけたいって言うから、
何も言わずに、アメリカに送り出したんじゃない!
(;^▽^)< お母さんには迷惑かけたと思ってるよ、思ってるけど・・・
ノノ;^ー^)< ( 遮って ) はぁ? 迷惑? なにそれ? 迷惑?
(;^▽^)< わかってない?
ノノ;^ー^)< お姉ちゃんには、お母さんのことも、あたしのことも、
(;^▽^)< 自分のこと・・・?
ノノ;^ー^)< お母さん、お姉ちゃんのやってることを迷惑だなんて
もう二度と夢とか愛とか口にしないで!
(;^▽^)< 詩織・・・
ノノ;^ー^)< ・・・もういい。寝る。お母さんの部屋で
(;^▽^)< 詩織、ねえ・・・
ノノ;^ー^)< おやすみ
(;^▽^)< ああ・・・もう・・・どうしろって言うのよ!
石川N< そのとき、私のポケットから、パンテオンで拾ったフィルムのかけらが
そこに映し出された少女の笑顔が、あまりにまぶしくて、
私は、目を合わせる事ができず、ただ、テーブルに顔を伏せ・・・
落ちてくる涙で、テーブルクロスを濡らしたのです
--- 続く ---
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